素行調査とは

素行調査とは、調査対象者への尾行や張り込み、聞き込み等をすることによって対象者の「素行」を証拠として入手するための調査のことをいいます。具体的には、会社内部の不正行為の監視、仕事上でライバル会社との不正な密会、取引先の反社会的背景の有無、恋人や結婚相手の不貞行為をしているかどうか証拠を抑えるための「浮気調査」などがあります。
対象者の素行調査が実地での調査ではなく、電話での取材で行う場合は探偵業務には該当しません。探偵業者が素行調査を行う場合には尾行や張り込みなどの実地が伴ないます。
素行調査と行動調査の違い

素行調査は「行動調査」とも呼ばれることがありますが、調査方法や内容について明確な違いはないようです。
細かく分けると、対象者の素行がどこか怪しいけれど行動・場所・時間などが曖昧で見当がつきにくく、めぼしい心当たりがない場合には「素行調査」、対象者の行動が具体的で「どこかのホテルに出入りしているらしい」というように予想できそうな場合には「行動調査」と呼ばれることがあるようです。
素行調査でできることは?

素行調査では一体どんなことを調べられるのでしょうか。素行調査の調査範囲は広いため、さまざまな対象者の素行について調べてもらえます。依頼者が知りたい対象者の生活や行動、対象人物の評判やおかれている環境などを調べることが可能です。また、素行調査では依頼者が知りたい情報を見つけられます。
浮気や不倫の調査、結婚相手の調査の他に、金銭の貸し借りについての素行調査なども可能です。調べて分かった証拠などのデータは調査報告書としてまとめられて、離婚裁判や慰謝料請求の際の証拠として役立つこともあります。では、実際に素行調査で調べられることについて紹介しますので参考にしてください。
対象者の行動を調べる

素行調査では依頼された対象者の日々の行動について調べます。普段、どんな生活をしているのかを張り込みや尾行をして調査します。具体的には、生活パターンや仕事などが終わった後、誰とどんなところで会っているのか、休日に行く場所や定期的に通っている習い事、昼間の行動パターンはどうなのか、出かける時間帯は決まっているのかなどです。
また、子供の非行防止の観点から交友関係などの素行調査をすることで、調査対象者の行動パターンや生活の様子が細かくわかってきます。
保険金の不正受給や金銭の貸借について

素行調査では保険金の受取人が不正に受給をしていないかも調べることが可能です。実際に不正受給をしている場合には証拠を取得できます。他にも、金銭の貸借関係で債務者としての調査を依頼することができ、対象者の金銭の流れや行動などを把握できます。
対象者の勤務状況

素行調査によって調査対象者の勤務先での様子についてもわかります。対象者を尾行することで出勤時間、会社に到着した時間を知れるのです。また仕事内容や遅刻、欠勤などの出勤状況についても調査によって把握できます。
仕事の関係先や職場内での勤務態度、上司や同僚との人間関係など対象者の評判なども調べることが可能です。探偵業者では調査が対象者にわからないように細心の注意を払いながら行われています。
結婚相手の素性

素行調査では結婚相手の素行についても調べられます。結婚相手の素行を調べてほしいという依頼は素行調査の中でも多いようです。例えば、結婚調査で一般的に多い内容が婚約者に依頼者のほかに親しくしている異性はいないのか、金銭トラブルを抱えていないか、仕事内容や対象者の健康状態などです。
対象者の身内についての調査なども追加で行ってもらえます。結婚する前に相手の素行を調べることによってトラブルを減らすことに繋げることも可能です。
浮気相手の素性

配偶者の浮気を調査することも、素行調査で依頼をできます。調べてほしい対象者を尾行することで不貞行為を裏付けるような証拠を残すことができ、浮気相手についても詳しい情報まで調べられます。浮気相手の情報や証拠写真などによって浮気相手と別れさせたり、慰謝料の請求をしたりすることが可能になるでしょう。
素行調査を依頼する際のポイント3つ紹介

探偵業者に素行調査を依頼する際には、いったいどんな点をポイントにして選べばいいのか知りたいという方もいるのではないでしょうか。ここでは探偵に素行調査を依頼する際におさえておいた方がいいポイントについて3つ紹介します。これから探偵業者について知りたいという方は参考にしてみてください。
①料金体系

いざ、素行調査を依頼したいときにまず気になることは調査にかかる費用ではないでしょうか。素行調査を依頼する探偵業者を選ぶときに「調査にかかる料金は明確かどうか」が大事なポイントです。
調査対象者への調査内容によっても料金は変わるかもしれませんが、機材費や調査報告書の作成費、交通費なども調査料金にふくまれるのかを事前に確認しておいたほうがいいでしょう。探偵事務所や興信所にもよりますが素行調査の場合には成功報酬ではなく「時間報酬」としているところが多いようです。
②スキルや体力・道具は揃っているか

素行調査を依頼する際に探偵の知識や経験、体力などの資質や使用する道具などの設備も整っているか確認しておいたほうがいいかもしれません。対象者に尾行をするための体力や根気、経験による直感などもあるかどうかも探偵事務所を選ぶポイントになるでしょう。
最新のデジタルツールを導入して活用している探偵業者は調査員の人件費も抑えることができ、調査費用もリーズナブルになる可能性もあります。最新のデジタルツールを使用している探偵業者も増えてきています。事前に探偵業者がどんな人でどんな道具を使って素行調査するのか確認してみるのもいいかもしれません。
③信頼できるかどうか

ポイントの3つ目は、調査依頼をしたい探偵事務所が信頼できるところかどうかという点です。実態がよくわからない探偵事務所だと依頼しにくいです。日本では探偵業をする際に「探偵業届出」を都道府県に届け出る必要があります。ちゃんと届出を提出しているかどうか確認しましょう。
ほかにも「一般社団法人探偵調査業協会」などの協会の会員になっているのかも依頼する際のポイントになります。また、「信頼のおけるメディアなどに紹介をされて取り上げられたことがある」なども探偵を選ぶポイントの1つになるかもしれません。
素行調査にかかる費用が高めな理由とは

素行調査を探偵事務所に依頼すると「調査費用が高額になる」といったイメージが強いかもしれません。素行調査は他の調査と比べると料金が高いことが多いようです。なぜ、他の調査に比べると費用が高めになるのでしょうか。理由について紹介します。
素行調査には日数がかかる

素行調査は証拠などの情報を得るまでに時間がかかることが多いので、調査を行う期間が長くなることが考えられます。素行調査するために、探偵業者が動員する調査員の人数や交通費などの必要経費などが調査にかかった日にちに加算されていきます。
素行調査の場合は調査期間が長くなるほど人件費がかかり、費用も高くなることも考えられます。
情報収集に手間や時間がかかる

素行調査をするためには手間や時間がかかります。証拠となる写真などの記録を残すためには調査対象者の居場所の特定から行動パターンの把握など長期的な調査が必要になるので、追加料金が発生することで料金が高くなる可能性があります。
素行調査の料金プランとは

探偵事務所や興信所などの探偵業者では、素行調査についてさまざまな料金プランが用意されています。依頼者の知りたい内容によって料金や調査期間を選ぶことができます。探偵業者によっては無料で相談や見積もりをしているところも多いようです。まずは、契約をする前に相談をすることをおすすめします。
料金プランとは、別に追加料金やキャンセル料などが発生するのか、概算でどのくらい料金がかかるのかを事前に確認しておきましょう。
追加料金が発生しないパック料金プラン

探偵業者によっては追加料金が発生しないパック料金プランが用意されているところもあります。パック料金では人件費、交通費や車両代など対象者の調査にかかる諸経費等がパックになった料金体系です。
パック料金は調査の日数が決まっているプランが多いので、浮気調査のようにある程度、曜日や時間等が限定することができるような内容であればパック料金を利用した方がお得になるかもしれません。
情報が絞れていれば時間制プランもおすすめ

探偵業者によっては時間制のプランも選ぶことが可能です。調査対象者について調べてほしい情報が決まっているのであれば、時間制のプランを利用してみてはいかがでしょうか。
例えば、「職場から帰宅までの行動を調べてほしい」「休日の行動を知りたい」など調べたいことがある程度決まっている場合におすすめのプランです。
知りたい情報が確認できた際に支払う成功報酬

成功報酬プランは、素行調査を依頼して知りたい情報や証拠などがつかめた場合に調査料金を支払うプランになります。調査対象者が浮気をしているのか知りたい場合などに成功報酬は向いています。成功報酬は、例えば対象者の浮気の証拠がつかめなかった場合などには費用は発生しません。
ただ、探偵業者の多くは成果に関わらず、着手金が必要になるケースがほとんどです。また、着手金は成果を問わず返還されないことが多いようです。事前に調査をしてほしい内容などを相談してからプランを選ぶようにしましょう。
調査期間を考慮したプランの検討

素行調査の依頼で気になる費用ですが、料金プランによっては基本プランが割高な設定の場合でも諸経費など含めて追加料金が発生しない料金プランもあります。
調査の段階で期間や証拠を集めることになっても請求額は変わりません。調査の期間が長くなる可能性がある場合にはトータルでみるとお得になるかもしれません。
素行調査の調査方法は

実際に素行調査はどんな方法で行われるのでしょうか。調査依頼の際にいったいどんな方法で調査をしてもらえるのか気になる方も多いのではないでしょうか。ここでは素行調査の調査方法について紹介していきます。
聞き込みや取材でリサーチ

素行調査では調査対象者がどういった人物か、どんな組織や機関に所属しているのか、人間関係はどうなのかなどについてリサーチをしていきます。おもに対象者の周囲の人物に取材を行い、聞き込みをするなどして情報を収集していきます。
尾行や張り込み・監視での調査

1980年代以降は都市化が進んだことによって、結婚調査や身元調査などの取材が必要になる場合を除いてほとんどが「尾行や張り込み」「写真等の撮影」による手法によって調査が行われるようになってきています。探偵業者が浮気調査や素行調査などをする場合、ほとんど尾行と張り込みをセットで行っています。尾行や張り込みによって対象者の行動を把握することによって証拠を写真などに記録します。
なお、近年は素行調査を行うことで対象者の行動や人間関係などのプライバシーを調べ調査依頼者に報告するので個人情報の保護の観点からも調査内容の扱いなどは慎重になっています。
素行調査は探偵業者に任せよう

素行について知りたい対象者がいる場合、自分で調べるか素行調査の専門家である探偵業者に依頼するかの方法があります。実際に対象者の素行を調べる場合には探偵業者に依頼したほうがいいでしょう。もし、個人で素行調査を行った場合には尾行などをしてバレてしまう可能性が高くなります。
プロの探偵業者であれば、対象者に警戒感がでてきた際は、経験に基づいて一旦調査を中止して様子をみます。個人が尾行した場合には、なにも変化がないようなときにも尾行を繰り返すことで、対象者に不信感や警戒感が生まれ、対象者も気付いてしまう可能性があります。素行調査は個人や素人だとリスクが大きいため、経験に基づいて調査ができるプロの探偵に任せるようにしましょう。
万が一、個人で素行調査をしてバレてしまった場合には、対象者との関係も悪化する可能性や証拠を隠滅されることも考えられます。また、プライバシーの侵害を主張されることになりかねません。
無料相談ができる探偵業者を選びましょう

素行調査の依頼をするときに無料相談を行っている探偵業者を選ぶようにしましょう。契約をする前に依頼する内容をしっかりと伝えたうえで、調査内容や調査の期間や費用等について見積をとるようにしましょう。
相談の際に、別途追加料金はかかるのか成功報酬はどこまで調査したら成功にするのか、支払いはどうするのかなど、自分で気になることはあらかじめ質問や相談をして確認しましょう。質問をした際にあまり明確な回答が得られない探偵業者は避け、明確な回答をしてくれる業者を選ぶようにしましょう。
探偵事務所・興信所に関するよくあるQ&A
ここでは、探偵事務所・興信所に関するよくある質問をまとめています。
- Q1:浮気調査は実際にどんな調査をするのか?
- Q2:安い探偵事務所に依頼しても大丈夫?
- Q3:探偵に依頼できない調査内容はある?
- Q4:匿名でも相談や依頼はできる?
- Q5:面談前に準備しておくべきことはある?
- Q6:興信所と探偵事務所の違いは何?
- Q7:探偵の料金相場はどれくらい?
- Q8:探偵に依頼しても失敗することはある?
Q1:浮気調査は実際にどんな調査をするのか?

対象者の尾行、張り込み、聞き込みを始めとする素行調査を行います。そして対象者がいつどこで誰と会い何をしていたのかを証拠(写真や動画)共に報告書にまとめます。

Q2:安い探偵事務所に依頼しても大丈夫?

一概に依頼料が安い探偵事務所が悪い訳ではありませんが価格だけで探偵事務所を決めるのは危険です。経験の少ないスタッフが担当につき十分な証拠が取得できない可能性もあります。

Q3:探偵に依頼できない調査内容はある?
探偵に依頼できる調査は、探偵業の業務の適正化に関する法律(” 探偵業法 ”ともいう)により厳しく定められています。
基本的に、違法行為にあたる調査や、他人の権利・プライバシーを不当に侵害するような調査は依頼できません。
たとえば、盗聴・盗撮、住民票や通帳、クレジットカード情報などの取得、携帯電話の通話履歴の調査などは違法行為に該当するため、これらの調査を探偵業者に依頼しても断られます。
また、調査方法自体に違法性がなくても、調査結果が犯罪行為や違法な差別的取扱いなどに用いられることを知った場合も、探偵業者は依頼を断らなくてはなりません。
これらの定めは、調査結果がストーカー行為や復讐行為に利用されたり、特定の人物の差別などに繋がらないようにするためのものです。
探偵の情報でストーカー被害 事件受け探偵業者へ研修会 京都|NHK
さらに、” 別れさせ屋 ”や” 別れ工作 ”、” 復縁工作 ”といった依頼も「公序良俗に反する」「調査手法によってはさまざまな他の法律に抵触する恐れがある」という理由で日本調査業協会は積極的な根絶を目指しているため、探偵に依頼することはできません。
別れさせ屋や復縁屋を営むこと自体が法律で禁止されているわけではないため、そういった事業者はいますが、場合によっては依頼者も罪に問われる可能性があるため、一般に別れさせ屋や復縁屋の利用は推奨されていません。
Q4:匿名でも相談や依頼はできる?
探偵事務所への相談のみなら匿名でも可能です。
ただし、調査依頼をする場合は必ず本人確認が必要になるため、匿名では依頼できません。
これは、過去に探偵事務所が匿名で調査依頼を受けた結果、別れた妻へのDV行為やストーカー殺人といった重大な事件に発展したケースが複数あるためです。
こういった被害の防止を目的に” 探偵業法 “では、契約時に依頼者の本名の記載が義務付けられています。
Q5:面談前に準備しておくべきことはある?
探偵事務所との面談の前に準備しておくべきことは、おもに以下二つです。
- 依頼したい内容と、目的を整理しておく
- 調査対象者の基本的な情報をまとめておく
一つ目は、「依頼したい内容と、目的を整理しておく」ことで、具体的には” 何が知りたいのか? ”と” なぜ知りたいのか? ”の二つを明確に説明できるようにしておきましょう。
例えば、パートナーの浮気調査を依頼したい場合、事実確認だけなのか、離婚訴訟に向けた証拠の収集まで依頼したいのかによって、必要な調査の範囲や調査費用が変わります。
二つ目は、「調査対象者の基本的な情報をまとめておく」ことです。
具体的には、調査対象者の氏名・年齢・住所・調査対象者を判別するのに役立つ外見的特徴などを説明できるようにしておきましょう。
中でも、最も有用なのが調査対象者の顔写真です。
また、過去に自分で尾行したことがある、LINEのトーク画面・領収書のスクショを撮ったなども伝えると調査の無駄を防ぐことができます。
Q6:興信所と探偵事務所の違いは何?
「興信所」と「探偵事務所」は業務内容に違いはありませんが、本来の成り立ちが異なります。
興信所は、もともと企業の信用調査を目的とする調査機関です。そのため、企業間の取引における信用確認などを、「聞き込み」といった比較的オープンな調査方法で集める特徴がありました。
一方で、探偵事務所はおもに個人からの依頼に対応する調査機関で、浮気・不倫調査から素行調査、身元調査など、調査対象者のプライベートな内容を、張り込みや尾行などをして集めるのが特徴です。
しかし、現在は興信所と探偵事務所に法律上の区別はなく、どちらも同じ” 探偵業法 ”に基づいて営業許可を取得しているという点では、業務内容に違いはまったくありません。
Q7:探偵の料金相場はどれくらい?
探偵事務所へ調査依頼する料金は、1時間あたり7,000〜10,000円前後が相場です。ただしこの金額は、調査プラン、必要な調査員の数・料金形態(パック料金・成果報酬など)によって変わります。
例えば浮気調査の場合、調査員の人件費や車両費などを含めると合計費用は30万円〜100万円程度が相場になります。
一方で人探し調査の場合、難易度(調査にかかる期間)によって変動しますが、およそ20万円〜30万円程度が相場で、比較的安価に調査可能です。
Q8:探偵に依頼しても失敗することはある?
探偵に調査依頼すれば必ず成功するとは限りません。
例えば、調査対象者の警戒心が非常に強いために尾行が困難であったり、何日も渡って決定的な証拠が押さえられない場合があります。
そのため、調査の成功率は調査対象者の性格や調査できる日数などに大きく左右されます。
依頼者側が事前に過剰に接触したり、調査していることを相手に匂わせてしまうことで、調査が難航するケースもあります。
そのため、探偵に依頼する前には、自分での調査や問い詰めなどは控えるのが賢明です。
また、調査失敗のもうひとつの要因として挙げられるのが、業者選びのミスです。
特に、盗撮カメラや盗聴器を仕掛けるために” 家宅侵入 “をするといった違法行為を行う探偵業者に依頼してしまった場合、調査が成功したとしても、逆に調査対象者から訴訟を起こされる危険性があるため、そういった悪徳探偵業者には注意が必要です。
素行調査の流れをつかんでから依頼しましょう
これから探偵に素行調査の依頼をしたいけれど、「素行調査とはどんなものかよくわからない」という方に向けて素行調査を依頼する際のポイントや調査方法などについて紹介しました。まずは、対象者の素行を調べたい場合には探偵業者を利用するようにしましょう。探偵業者に依頼する際にも、無料相談で調べてもらえる内容や費用などの調査プランを確認してから自分で納得したうえで契約をしましょう。