モニタースピーカー導入で音楽制作を次のレベルへ

「ヘッドホンだけでミックスしてるけど、これで合ってるのかな…」 「完成した曲をスマホで聴いたら、なんだか全然違う音に聴こえる…」
DTM(デスクトップミュージック)を始めたばかりの方が、必ず一度はぶつかる「音の壁」。その悩みを解決し、あなたの音楽制作を次のレベルへと引き上げてくれる最も重要な機材が、モニタースピーカーです。
また、どんなに高価なモニタースピーカーを買っても、「置き方」を間違えるとその性能は半減してしまいます。この記事では、製品選びだけでなく、その性能を100%引き出すための「正しい設置方法」まで、しっかりと解説します。
モニタースピーカーは必要?普通のスピーカーとの決定的な違い

一見すると同じように見えるモニタースピーカーと一般的なオーディオスピーカー(リスニングスピーカー)。その役割は全く異なります。
- リスニングスピーカー: 音楽を「楽しく」「心地よく」聴かせるために、低音や高音を強調するなど、意図的に味付けがされています。
- モニタースピーカー: 音楽の「健康診断」をするための機材です。味付けを一切せず、録音された音を可能な限り正確に、フラットに再生することが目的です。
リスニングスピーカーでミックス作業をすると、そのスピーカーの味付けを基準にしてしまうため、他の再生環境(スマホやイヤホンなど)で聴いたときに、意図しないバランスの音になってしまうのです。モニタースピーカーは、音の悪い部分やバランスの崩れをシビアに教えてくれる、作曲・ミックスにおける「信頼できる耳」となってくれます。
後悔しない!モニタースピーカーの選び方
【最重要】部屋の広さで決める「ウーファーサイズ(インチ数)」

スピーカーの低音域を担当する「ウーファー」の大きさは、性能を左右する最も重要な要素です。部屋の広さに合わないサイズを選ぶと、正確なモニタリングができません。
- ~6畳の部屋: 3~4インチがおすすめ。小さな音量でもバランス良く鳴らせます。
- 6~8畳の部屋: 5インチが定番。多くのDTMユーザーが愛用する、最もバランスの取れたサイズです。
- 8畳以上の部屋: 6インチ以上も視野に。豊かな低音再生能力で、よりパワフルなモニタリングが可能です。
初心者はこれ一択!アンプ内蔵の「パワードスピーカー」とは?

スピーカーには、音を増幅する「アンプ」が必要です。モニタースピーカーには、スピーカー本体にアンプが内蔵されている「パワード(アクティブ)スピーカー」と、別途パワーアンプが必要な「パッシブスピーカー」があります。
DTM用途では、手軽に導入できる「パワード(アクティブ)スピーカー」が主流であり、初心者の方はまずこれを一択で考えて問題ありません。
手持ちの機材と接続できる?「入力端子」の種類を確認

モニタースピーカーは、オーディオインターフェースなどの機材と接続して使います。代表的な端子は以下の3種類です。
- XLR端子: ノイズに最も強い「バランス接続」に対応した、プロの現場標準の端子です。
- TRSフォン端子: こちらも「バランス接続」に対応。多くのオーディオインターフェースに搭載されています。
- RCA端子: DJ機器や一般的なオーディオ機器で使われる「アンバランス接続」用の端子です。
部屋の響きを補正する「音質調整機能」の有無

部屋の壁の材質やスピーカーの設置場所によって、特定の音域が強調されてしまうことがあります。それを補正するのが「ルームコントロール」や「HIGH/LOWトリム」といった音質調整機能です。低音がこもりやすい部屋では低域をカットするなど、環境に合わせた調整が可能になります。
低音の出口「バスレフポート」の位置はフロント?リア?

多くのスピーカーには、低音を豊かに響かせるための穴「バスレフポート」があります。これが背面にある「リアポート」の場合、壁との距離をある程度確保しないと低音がこもってしまいます。設置スペースが限られる場合は、前面にある「フロントポート」のモデルが有利です。
主要人気メーカーごとの特徴

- YAMAHA: 世界中のスタジオの基準機。白いウーファーが象徴的で、非常にフラットで真面目なサウンドが特徴。
- PreSonus: 高いコストパフォーマンスが魅力。DTM初心者から絶大な支持を得る、バランスの取れた優等生。
- ADAM Audio: 上位機種譲りのリボンツイーターが特徴。解像度が非常に高く、繊細な高音域の表現力は圧巻。
- JBL: 独自のウェーブガイド技術による、広く立体的なサウンドステージが魅力。音の広がりを重視するなら。
- KRK: 黄色いウーファーが目印。パワフルでパンチのある低音が特徴で、EDMやヒップホップ制作者に人気。
【価格・サイズ別】モニタースピーカーおすすめランキング30選
【~3万円】DTM入門に最適な高コスパな3~4インチモデル
タイプ | パワード |
ウーファーサイズ | 3.5インチ |
周波数特性 | 80Hz - 22kHz |
入力端子 | TRS, RCA, AUX |
音質調整機能 | High/Low EQ |
1本あたりのサイズ・重量 | 140 x 145 x 208mm / 3.35kg (ペア) |
タイプ | パワード |
ウーファーサイズ | 4インチ |
周波数特性 | 80Hz - 20kHz |
入力端子 | RCA, 3.5mmステレオミニ, マイク入力 |
音質調整機能 | Bass/Trebleコントロール |
1本あたりのサイズ・重量 | 150 x 241 x 140mm / 3.5kg (ペア) |
タイプ | パワード |
ウーファーサイズ | 4インチ |
周波数特性 | - |
入力端子 | RCA, 3.5mmステレオミニ |
音質調整機能 | モード切替 |
1本あたりのサイズ・重量 | 146 x 227 x 223mm / 4.9kg (ペア) |
タイプ | パワード |
ウーファーサイズ | 3.5インチ |
周波数特性 | 80Hz - 20kHz |
入力端子 | TRS, RCA |
音質調整機能 | High/Lowトリム |
1本あたりのサイズ・重量 | 141 x 210 x 162mm / 2.9kg (ペア) |
タイプ | パワード |
ウーファーサイズ | 4.5インチ |
周波数特性 | 60Hz - 20kHz |
入力端子 | TRS, RCA, 3.5mmステレオミニ, Bluetooth |
音質調整機能 | - |
1本あたりのサイズ・重量 | 153 x 247 x 124mm / 3.8kg (ペア) |
タイプ | パワード |
ウーファーサイズ | 5インチ |
周波数特性 | 49Hz - 20kHz |
入力端子 | XLR, TRS |
音質調整機能 | HFトリム, बाウンダリーEQ |
1本あたりのサイズ・重量 | 185 x 298 x 231mm / 4.73kg |
タイプ | パワード |
ウーファーサイズ | 4インチ |
周波数特性 | 77Hz - 20kHz |
入力端子 | XLR/TRSコンボ, 3.5mmステレオミニ |
音質調整機能 | High/Lowトリム |
1本あたりのサイズ・重量 | 142 x 205 x 196mm / 2.5kg |
【3~7万円】定番!ステップアップに最適な5インチモデル
タイプ | パワード |
ウーファーサイズ | 3インチ |
周波数特性 | 55Hz - 20kHz |
入力端子 | RCA, 3.5mmステレオミニ, Bluetooth |
音質調整機能 | DESKTOPスイッチ, High/Lowトリム |
1本あたりのサイズ・重量 | 90 x 180 x 135mm / 1.72kg (ペア) |
タイプ | パワード |
ウーファーサイズ | 5インチ |
周波数特性 | 45Hz - 25kHz |
入力端子 | XLR, RCA |
音質調整機能 | HF/LFトリム |
1本あたりのサイズ・重量 | 179 x 298 x 297mm / 5.7kg |
タイプ | パワード |
ウーファーサイズ | 5インチ |
周波数特性 | 54Hz - 30kHz |
入力端子 | XLR, TRS |
音質調整機能 | ROOM CONTROL, HIGH TRIM |
1本あたりのサイズ・重量 | 170 x 285 x 222mm / 5.3kg |
タイプ | パワード |
ウーファーサイズ | 3インチ |
周波数特性 | 80Hz - 20kHz |
入力端子 | TRS, RCA, 3.5mmステレオミニ |
音質調整機能 | - |
1本あたりのサイズ・重量 | 140 x 206 x 180mm / 3.5kg (ペア) |
タイプ | パワード |
ウーファーサイズ | 6.5インチ |
周波数特性 | 43Hz - 30kHz |
入力端子 | XLR, TRS |
音質調整機能 | ROOM CONTROL, HIGH TRIM |
1本あたりのサイズ・重量 | 210 x 332 x 284mm / 8.2kg |
タイプ | パワード |
ウーファーサイズ | 4インチ |
周波数特性 | 69Hz - 22kHz |
入力端子 | TRS, RCA, |
音質調整機能 | - |
1本あたりのサイズ・重量 | 148 x 222 x 173mm / 4.7kg (ペア) |
タイプ | パワード |
ウーファーサイズ | 3インチ |
周波数特性 | 80Hz - 22kHz |
入力端子 | RCA, 3.5mmステレオミニ, Bluetooth |
音質調整機能 | - |
1本あたりのサイズ・重量 | 110 x 170 x 138mm / 2.1kg (ペア) |
タイプ | パワード |
ウーファーサイズ | 5インチ |
周波数特性 | 45Hz - 20kHz |
入力端子 | XLR, TRS, RCA |
音質調整機能 | Acoustic Space, HFフィルター |
1本あたりのサイズ・重量 | 180 x 281 x 221mm / 4.6kg |
タイプ | パワード |
ウーファーサイズ | 5インチ |
周波数特性 | 49Hz - 22kHz |
入力端子 | XLR, TRS, RCA |
音質調整機能 | - |
1本あたりのサイズ・重量 | 176 x 254 x 195mm / 3.8kg |
タイプ | パワード |
ウーファーサイズ | 5インチ |
周波数特性 | 70Hz - 20kHz |
入力端子 | XLR, TRS, 3.5mmステレオミニ |
音質調整機能 | HFトリム |
1本あたりのサイズ・重量 | 183 x 294 x 252mm / 5.8kg |
タイプ | パワード |
ウーファーサイズ | 5インチ |
周波数特性 | 53Hz - 21kHz |
入力端子 | XLR, RCA |
音質調整機能 | DSPコントロール |
1本あたりのサイズ・重量 | 175 x 275 x 233mm / 5.0kg |
【7万円~】プロも愛用する本格派モデル
タイプ | パワード |
ウーファーサイズ | 5インチ |
周波数特性 | 43Hz - 40kHz |
入力端子 | XLR/TRSコンボ |
音質調整機能 | DSPグラフィックEQ |
1本あたりのサイズ・重量 | 191 x 285 x 241mm / 4.85kg |
タイプ | パワード |
ウーファーサイズ | 5.25インチ |
周波数特性 | 48Hz - 20kHz |
入力端子 | XLR, TRS, RCA |
音質調整機能 | Acoustic Tuning |
1本あたりのサイズ・重量 | 203 x 280 x 254mm / 4.99kg |
タイプ | パワード |
ウーファーサイズ | 3インチ |
周波数特性 | 74Hz - 20kHz |
入力端子 | XLR |
音質調整機能 | DIPスイッチ |
1本あたりのサイズ・重量 | 121 x 195 x 116mm / 1.5kg |
タイプ | パワード |
ウーファーサイズ | 6.5インチ |
周波数特性 | 40Hz - 22kHz |
入力端子 | XLR, TRS, RCA |
音質調整機能 | シェルビングEQ |
1本あたりのサイズ・重量 | 260 x 340 x 310mm / 7.6kg |
タイプ | パワード |
ウーファーサイズ | 3.5インチ x2 |
周波数特性 | 50Hz - 24kHz |
入力端子 | XLR/TRSコンボ, 3.5mmステレオミニ |
音質調整機能 | 自動音場補正ARCシステム |
1本あたりのサイズ・重量 | 130 x 264 x 160mm / 2.5kg |
タイプ | パワード |
ウーファーサイズ | 4インチ |
周波数特性 | 57Hz - 21kHz |
入力端子 | XLR/TRSコンボ |
音質調整機能 | DSPコントロール (自動音場補正対応) |
1本あたりのサイズ・重量 | 154 x 233 x 194mm / 3.4kg |
タイプ | パワード |
ウーファーサイズ | 6.5インチ |
周波数特性 | 39Hz - 25kHz |
入力端子 | XLR, TRS, RCA |
音質調整機能 | バウンダリーEQ |
1本あたりのサイズ・重量 | 222 x 359 x 260mm / 7.01kg |
タイプ | パワード |
ウーファーサイズ | 5.25インチ |
周波数特性 | 44Hz - 21kHz |
入力端子 | XLR/TRSコンボ, S/PDIF |
音質調整機能 | DSPコントロール (自動音場補正対応) |
1本あたりのサイズ・重量 | 182 x 287 x 227mm / 5.4kg |
タイプ | パワード |
ウーファーサイズ | 8インチ |
周波数特性 | 35Hz - 19kHz |
入力端子 | XLR/TRSコンボ |
音質調整機能 | 49通りのDSP EQ |
1本あたりのサイズ・重量 | 284 x 435 x 347mm / 14.4kg |
タイプ | パワード |
ウーファーサイズ | 5インチ |
周波数特性 | 50Hz - 22kHz |
入力端子 | XLR, RCA |
音質調整機能 | Sound Balance, Position, Bass Extension |
1本あたりのサイズ・重量 | 170 x 260 x 234mm / 5.7kg |
タイプ | パワード |
ウーファーサイズ | 7インチ |
周波数特性 | 41Hz - 42kHz |
入力端子 | XLR, RCA |
音質調整機能 | DSPコントロール |
1本あたりのサイズ・重量 | 200 x 337 x 280mm / 7.7kg |
タイプ | パワード |
ウーファーサイズ | 5インチ |
周波数特性 | 50Hz - 35kHz |
入力端子 | XLR, RCA |
音質調整機能 | 3バンドEQ, ハイパスフィルター |
1本あたりのサイズ・重量 | 191 x 312 x 242mm / 6.5kg |
音質が激変する!モニタースピーカーの正しい設置方法と必須アクセサリー
正三角形を作る「セッティングの基本」

モニタースピーカーの性能を最大限に引き出すには、「自分自身の頭」と「左右のスピーカー」の3点が、正三角形を描くように配置するのが鉄則です。また、スピーカーのツイーター(高音域ユニット)が、ちょうど耳の高さに来るように調整しましょう。これにより、正確なステレオイメージと定位感を得ることができます。
振動を抑える「インシュレーター」と「スピーカースタンド」の重要性

スピーカーを直接机に置くと、スピーカーの振動が机に伝わり、音が濁る原因になります。スピーカーと机の間に「インシュレーター」というゴムや金属製のブロックを挟むだけで、この不要な振動を抑え、音がクリアになります。
より理想的なのは、専用の「スピーカースタンド」を使い、机から完全に分離させて設置することです。
よくある質問(FAQ)
Q1. 1本だけ買っても使えますか?
A1. 1本でも音は鳴りますが、左右の音のバランスや広がりを確認する「ステレオ」でのモニタリングができないため、音楽制作には全く向きません。必ず2本ペアで購入しましょう。
Q2. サブウーファーは必要ですか?
A2. 5インチ以上のスピーカーであれば、ほとんどのジャンルで十分な低音を再生できます。EDMの深い重低音などを正確にモニタリングしたい場合は必要になることもありますが、最初の導入では不要です。
Q3. ケーブルは何を買えばいいですか?
A3. お使いのオーディオインターフェースの出力端子と、スピーカーの入力端子を確認し、それに合ったケーブル(TRSフォンケーブルやXLRケーブルなど)を選びましょう。長さは、設置場所に合わせて少し余裕のあるものを選ぶと良いでしょう。